前回のエントリーの続きになります。
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いよいよ実践のときがやってきました。3日間で、レクチャーとWSをみっちりとやっていきます。
目次
レクチャー:DDIのキホン
まずは、DDIのキホンのキを学んでいきます。特に、ユーザー中心設計の考え方をこれまでの2年間、学生はみっちりと学んできたということですので、逆に、それを「Unlearn」することから始めるという荒療治を試してみることになりました。
というのも、ユーザー中心設計とDDIでは、考え方の根本に違いがあるからです。(実際のデザインプロジェクトでは、都度、状況に合わせてプロジェクトデザインが必要になりますが、学術的には明確に議論がなされてきています。)
ここでは、大学院の授業ということで、しっかりとキホンを覚えてもらいたいということになり、学術的な講義にはこだわることになりました。
こちらは、ミラノ工科大学のベルガンティ教授の教えに習い、DDIの考え方のキホンを伝授していきます。
グループワーク:DDIの実践
DDIの実践編です。グループに分かれて、チームで調査からアイディア出し、最後のシナリオビルディングまでを進めていきます。
テーマは、「インドの大手飲料メーカーの飲料プロダクトラインの戦略的デザイン」です。
3日間で、合計5回のWSを重ね、段階的に仕上げていく仕組みです。
ただPJの練習をするのでは、芸がないので、少しだけチャレンジを課してみました。
最近の「フードテック」にまつわる環境変化を発想のタネに仕掛けることです。以下のようなキーワードから、発想を広げていくことを目指しました。
課題:学びはどれくらい深まったのか?
さて、学生の学びはどれくらい深まったでしょうか。ここでActive Learningの観点から、とても重要なことが2つあります。コンセプトを使いこなす力、それから、新しきを生み出す力です。(ここでは詳しく記載しませんが、教育の効果を高めるための考え方にBLOOM’S TAXONOMYという考え方があります)
コンセプトを使いこなす力:Applying
コンセプトを理解はできたものの、使いこなすには少し練習が必要なようでした。
特に、DDIでは、メタファーを効果的に活用することが重要ですが、その使い方にはコツがいります。当初、学生たちも皆苦戦しているようでした。
つまずきがちな箇所に寄り添いながら、自力で走れるようになるまで、教員としてサポートしていきました。
新しきを生み出す力:Creating
そして次に重要なのが、新しきを生み出す力(Creating)です。コンセプトを効果的に活用しながら(Applying)、さらに新しきを生み出す。ここまで来て始めて、このWSの学びは成功となります。
このあたりは、さすがはデザイン学部の学生でしょうか、慣れたものという感じで、アイディアをどんどん出してくれました。
発展:今後さらに進化するためには?
さて、プレゼンも無事に終わりました。担当の教授が、エグゼクティブマネジャーとして扮し、コメントをしていきました。今後さらに発展するためには、以下の点に注意して努力するように、と。
現実のビジネスシーンをどこまで想定できるか
アイディアはよかった。しかし、どこまで現実のビジネスシーンを想定することができただろうか?
これは、教育プログラムとはいえ、実践を想定したプロジェクトです。ですので、クライアントの現状や課題を適切に踏まえた提案をしなければなりません。(当然、3日間では無謀な話ですが。)
こういったメッセージは、学生のモチベーションと将来への希望を高めていました。
現実の課題に照らして、プロジェクトをデザインできるか
今回は、教育の場として、DDIの使い方のキホンを学びました。
しかし、実際のデザインプロジェクトの現場では、そんなガイドラインはどこにもありません。
それは、プロジェクトを担当するあなたがた自身がプロジェクトデザインを通して実現していかなければなりません。
このあたりの意識付けというものは、とても重要で、学生も少しずつプロフェッショナルな目の色に変わっていくのでした。
嬉しかった言葉たち
3日間、一生懸命みんな頑張ってくれました。そしてなんともありがたいことに、学生から嬉しい言葉たちを頂きました。
2年間の学びの集大成のように感じた。一つ一つの学びの点と点が、線として繋がりました。
卒業前に、とても重要な学びを頂きました。もっと早く聞きたかった!
いやぁ!なんだか泣けてきますね。。。
一時はどうなることかと思いましたが、これまでの経験や知見がこんな形で学生のみなさんと共有することができて、こんな素敵な言葉の一つ一つをいただけただけで、今回の講義とWS、実施できて本当によかったと思います。
そして私にとっては、博士候補生として、初めて、イチから授業設計をさせていただきつつ、講義とワークショップを教員として担当させていただきました。とても意識高く、積極的な学生たちと学びが共有できて、嬉しく、幸せな時間でした。ダンニャワード!!
こんな素晴らしい機会を設定頂いたインドの友人と教授に感謝です!ダンニャワード!!
新しいマスターの皆さんの今後の輝かしい人生を祈ります!
Ciao Grazie!
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