マネジメントエンジニアリングの修士の学生向けのワークショップが始まりました。
今回は、学生のワークショップ経験にみる、混乱についてです。
目次
プロジェクト・ベースド・ラーニング(PBL)
学生が6人1組のチームを組んで、デザインプロジェクトを実施します。
全90人ほどいる学生を3つの教授−アシスタントのグループで担当。
我々のグループでも6チームほどを担当します。
実務を想定して、クライアントが実際にいらっしゃいます。かなり気合の入った内容です。
学生は、クライアントからの「デザインブリーフ(Design brief)」を読み込み、思い思いに解釈します。そして、3ヶ月に渡るプロジェクトを設計してきます。
第一回目である本日は、彼ら彼女らの解釈と、それに基づくプロジェクト設計そのものをレビューするというもの。
同じブリーフを読んでも、6チームもいると、全く異なる解釈をしてきて、本当に面白い!!
いつもながら、学生の十分なやる気は共通していますが、一方で、個性があって、「伸ばし甲斐」があります。
プロジェクト設計するも、まさかの白紙に。。(鬼w)
そして、非常に過酷なこの学びのプロジェクト。
一生懸命考えてきて、よく仕上がっているなーというチームがほとんどです。
が、しかし。。
我々(というか教授)が容赦ありません。
はい、みなさん。これは完全に間違っている。
あっさりとすべてを否定。
チームの全員に緊張感が走ります。
誰が、コンペティターを調べろといった?
確かに、これまでの数回に渡る授業では、誰も言ってませんでした。
誰が、数字を調べろといった?
はい、たしかに、数字を調べろとは、誰も一言も言っていませんでした。
誰が、○○をしろといった?
はい。。という風に、こんな過酷な回答がガンガン続きます。
そして、学生たちは次第に生気を失うものもいれば、食らいついて質問をしてくる人もいます。
そして、中には、悲痛な叫びを顕にする学生も。。。
先生、正直、私はどこから手をつけていいのか、全く分かりません。
これが、正直な気持ちなのでしょう。。。
デザイン言語とマーケティング言語は、異なる言語だ。
今回、マネジメントエンジニアリングの学生たちが陥った罠は、次の一言に付きます。
デザイン言語とマーケティング言語は、異なる言語だ。
これが、どれくらい深刻かというと、少々大げさかもしれませんが、日本語と英語くらい違う、と考えてもいいかもしれません。
文法が違う、言葉が違う、アルファベットが違う。そして脳の働かせ方が違う。
英語を習得するために、日本語の知識というのは、正直言って、邪魔になることすらあります。
困惑する学生たちの表情に、自分自身もデザインの基礎を学んで初めて感じたときの、ガツンと頭を殴られた感覚が、既視感とともに蘇りました。
これまで必死に学んできた自分の専門領域を、一度、捨て去る(Unlearn)しなければなりません。
これがどれほど深刻であり、大変なことかというと、もうこれは実際に考えてやってみるしかありません。
私たち教育陣は、あくまで水先案内人。
学生たちが自分でなんとかすることを、少しでも先導できるようにメッセージを伝えていきます。
今日は、教授の鬼のような案内に、冷や汗を書く場面もありましたが、自分も一人の水先案内人として、何をどのように学生に伝えられるか、奮闘の日々が始まります。
Ciao grazie!
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