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デザインは、科学か?

デザイン

ブロクでは、リラックスして書きます。(学術的な論文とかではないので、一個人の現時点でのラフな見解です)

デザイン学の研究に携わり、1年が経過しました。

当初、「デザイン学」の「研究」ということそのものに、漠然とした感覚を抱えていました。

それは、「デザイン学は、科学なのか?」という素朴な疑問です。

この問いに直面せずして、アカデミックな研究というものは、実は成り立ちません。

なぜなら、アカデミックな研究というものは、サイエンティフィックな(科学的な)研究とほとんどニアイコールだからです。

デザイン学の博士課程でも、他の科学の博士課程同様、学問的な研究を目指すのであれば、その問いに直面することは必至、というわけです。

結論を先に超大雑把に言ってしまいます。

この問い、実は答えがまだ出きっていない、ということが実態かと思います。

実際、「科学ではない」という意見がアカデミアではわりと支配的です。
(その時の科学、というのは、自然科学や社会科学を指します。)

デザイン学は、自然科学にも、社会科学にも属さない、したがって、科学ではない。という論理でしょうか。(論理①)

この論は、NIGEL CROSSの”Designerly ways of knowing”にも影響を大いに受けています。

Crossは、広く確立されているSciencesとHumanitiesの2つの教育領域と比較して、デザインを「third area」としています。第三の領域、と明確に言いきっているのです。

デザインによる知のあり方というものは、他の2つと異なる、ということです。

また、デザインはクリエイティビティを扱う、アートにもにた、直感的な現象を扱う。したがって、科学ではない。(論理②)

このように、「デザインは、科学ではない」という論が(やや)支配的なアカデミズムですが、実は、実態としては、科学的な論文に近い方法での研究を目指さざるを得ない方向へと進んでいる、という状況です。(※話を聞くレベルでは、学者によっても、実はスタンスも微妙に違っているように感じます)

様々な学問が、「科学」というようにくくられますが、実態はどうなのでしょうか。それぞれの分野において、かなりの部分、違いもみられるようです。

目次

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医学と経営学の比較

そこで、科学の代表である医学と、社会科学の一部門である経営学でも、実は研究のあり方を巡っての議論がありましたので、参考にしてみます。

サイエンスの中でも、経営学は一般には、社会科学に含まれます。

そんな経営学ですが、研究の厳格性を求めて、議論を展開した学者がいます。(Tranfield,Denyer and Smart. 2003)

彼らによれば、経営学の研究は、「Pragmatic Science」を目指すべきということになります。

 

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Tranfield, D., Denyer, D., & Smart, P. (2003). Towards a methodology for developing evidence‐informed management knowledge by means of systematic review. British journal of management, 14(3), 207-222.

つまり、「実用性が高く」、かつ、「理論的ー方法論的な厳格性が高い」領域を目指すべき、ということです。

なので、彼らの経営学の立ち位置についての見解としては、「経営学は医学とは違うけど、それでも、理論ー方法論的には、なるべく厳格にしましょうよ」ということがメッセージになります。

デザイン学と経営学は?

さて、デザイン学ですが、医学よりは経営学に近いだろう(これも個人のバイアスがありますが。もちろん分野によっては医学よりのデザイン学のカテゴリーもあるでしょう)という風に思うのですが、経営学の研究論理を援用できるのでしょうか。

この問い、僕はまだ答えが出てません。おそらく、まだ先程のTranfield,Denyer and Smart. 2003のように明確な見解を示した例はないのではないでしょうか。(つまり、この問い自体が、研究テーマになりうる)

ということで、もう少し深めていかなければ、答えにたどり着けないでしょう。
先は長いですね。

Grazie!

 

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