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北欧スカンジナビア起原の参加型デザイン(Participatory design) の歴史 Pelle Ehn(ペレ・エーン)の講義より

デザイン学研究

User centered Innovationの講義で、参加型デザインの歴史についての講義がありました。

参加型デザイン(Participatory Design)は、デザイナーなどの”クリエイティブクラス”の人たちだけではなく、エンドユーザーを含めた人々の設計プロセスへの参加を基本とした設計アプローチです。

似たような言葉に、ユーザー中心デザイン(User Centered Design)や、Co-design、ユーザー主導型イノベーション(User led innovation)など、複数の言葉がありますが、これらにはそれぞれきちんと歴史があります。

中でも、参加型デザインは、実はスカンジナビアの国々の労働組合で1960年代から70年代にかけて行われ始めたことが起源とされており、その研究の第一人者であるペレ・エーン(Pelle Ehn)教授の講義はとても示唆に富みます。

北欧スカンジナビアにおける参加型デザインの歴史から、我々は何を学び、今後の時代を考える上で、どう活かしていくことができるのでしょうか。

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参加型デザインの歴史の外観

マルメ大学のPelle教授の歴史観に基づけば、北欧スカンジナビア起原の参加型デザイン発展の歴史は、いわば”波のよう”です。

どういうことかといいますと、コレクティブ(集団)とデザイン(設計)の間を10年単位で行ったり来たりして、スカンジナビアの参加型デザインは、進化してきました。

70年代に、デザイナーが、労働者と労働組合と一緒にプロジェクトをすすめるアプローチに移行しました。これは、労働現場にも民主主義の動きが唱えられた背景があります。「言われたとおりに作れるかよ!」そういった労働者の生の声が聞こえてきそうですね。

80年代には、”現場”でデザインが行われるようになると、”現場主導のデザイン”が出てきます。”accidental designer(偶然のデザイナー)“です。

90年代、コンピュータ・サイエンスの時代の本格的な始まりです。ここで、なんと、スカンジナビアとシリコンバレーが出会います。現場でまた、新たなコラボレーションのあり方が進化します(critical computingの時代)。

そして、2000年代。マルメ大学で、デジタルバウハウスが設立されました。これは言わずと知らたデザイン学校の祖”バウハウス”のスピリッツを受け継ぎつつ、デジタルテクノロジーを取り入れた、参加型デザインの営みを目指すものです。ネーミングセンスといい、フィロソフィーといい、めちゃくちゃしびれますね!

2010年代には、マルメ大学での参加型デザインは、更に街へ、公共へと広がって進化を続けていきます。ここでは、課題解決のためのデザインというよりも、課題について考え続けるデザインstaying with the trouble)が重要視されます。これは本当に示唆に富む哲学です。

こちら筆者のレポートです。


個人的に一番おもしろかった2000年代から2010年代の進化の系譜についての、Pelle教授の講義をこちらでご紹介します。ご興味ある方、ぜひ見てみてください!

(3/3) Design, Democracy and Participation: Exploring the Scandinavian Participatory Design Tradition

↓ペーレ・エーン率いるマルメ大学の取り組みがまとまっています。
参加型デザインを学ぶ必読書。

 

2020年代は、デザインの出番か?
コロナ後やVUCAは、参加型デザインの進化の契機か?

これまで、コレクティブ(集団参加)とデザイン(設計)の間を波打つように進化してきたスカンジナビア形の参加型デザイン。

では、2020年は、どうなっていくのでしょうか?

僕なりに、少しスペキュラティブな妄想をしてみました。

基本的な環境条件

  • コロナウイルスの影響から逃れることはできません…..
  • 世界はますます不確実になります。 (例:VUCAワールド;ボラティリティ、不確実性、複雑さ、およびあいまいさ)…。
  • AIとロボット工学のテクノロジーは、私たちの日常生活を取り囲んでいます。

いくつかの基本的なリサーチ・クエッション

  • RQ1:参加型デザインのアプローチを通じて、デザインはこれらの前例のない革命と危機にどのように対抗できるか。
  • RQ2:参加型デザインのアプローチは、さらにどのように進化するか?

いくつかの仮説

仮説1:幅広い次元(例:グローバルレベルの参加型)

参加型デザインそれ自体の範囲が、より幅広い参加者を募るような動きが出てくるかもしれません。先日のベルガンティ先生のウェビナーでもNew Normalにおけるビジネスの肝に、「Learning by sharing」の考え方が唱えられていました。幅広い人々の参加は、今後ますます重要になるかもしれません。

仮説2:より包括的な側面(例:複数の分野にわたる専門家、市民など)

”参加型”の人々が、より高度に複数の専門家と、一般の市民の参加が求められてくるかもしれません。実際に、昨今のコロナ危機に対する議論は、医学会や経済学会など幅広い専門家の議論が、政策的な意思決定にも今まで以上に重要な影響を与えているように思います。また、ネットを通じた市民の議論への参加は、これまで以上に加速するように思います。

仮説3:超人的技術参加型(例:AIとロボット工学がプロジェクトに参加!?)

これは、少し「飛んだ」妄想かもしれません(いや、意外ともうそんなこともない)。参加型の対象者は、人間に限られないかもしれない、そう思えます。AIに意見を聞いたり、スター・ウォーズのC-3POのようなロボットが、参加する日もそう遠くはないはずです。

北欧スカンジナビア起原の参加型デザイン。このコロナ危機の中でも、デザインの力で世の中への貢献がとても期待されますね。

>関連記事
同じ北欧のアアルト大学の『共感デザイン』についての記事です。
https://yasuyukihayama.com/empathic-design-aalto/

Ciao grazie!

 

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