2016-09-12

JIDAイノベーションセミナー「今、欧州ではデザインとイノベーションをどう考えているか?」

こんにちは。羽山(ys_h)です。

先日9/3(土)に、JIDAさん主催のイベントで講演会をさせて頂きました。お題は「今、欧州ではデザインとイノベーションをどう考えているか?」でした。(JIDAインフォメーション)ミラノ工科大学のデザインスクールで学んできたことをメインに、デザインとイノベーションについて、僭越ながら、お話させて頂きました。

各界第一線で活躍されている方々総勢60名近くをお客様にお迎えし、私にとっては非常にチャレンジングでしたが、何か少しでも皆様にお届けできれば幸いと精一杯勤めさせていただきました。

予想以上に大盛り上がりで、会場からは様々なご意見・ご質問・ご批判・コメントを頂き、非常に嬉しい結果となりました。皆様、本当にありがとうございました。

当日は、以下のコンテンツでお話させて頂きました。

  1. 戦略的デザインとは?
    – 戦略的デザイン-製品サービス・システムのデザイン(PSS)
    -変化するコンテクスト-デザイナーの役割の変化
  2. デザイン・ドリブン・イノベーション(DDI)とは? (ロベルト・ベルガンティ教授の理論をベースに)
    -デザイン・ドリブン・イノベーションとは?
    -なぜ、意味が重要か?
  3. DDIの基本的アプローチとステップ
    -Creative Problem Solving – User centered design
    -Innovation of Meaning(意味のイノベーション)- Design Driven Innovation
    -補論:DDIと”デザイン思考”の関係性(羽山仮説)
  4. デザインによるイノベーションを目指すために
    -まとめ
    -多様性あるチームで、ディスコースを
    -今後の戦略的デザイン・DDIを巡るテーマ例

こちらでは、まとめにお伝えしたメッセージと来場者の方から頂いた、本源的な問いについて、ご紹介したいと思います。


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イタリア(欧州)では、デザインが戦略との関係性、戦略的視点で議論されている。

”デザイン”について語るとき、私たちはまだ”Form(形状)”という言葉を使うのでしょうか?その時の”Form(形状)”とは、いったい、何の形状でしょうか?

ミラノ工科大学は、デザインの学部をはじめてイタリアで創設した歴史ある大学です。
その大学で、”デザイン”についての考え方が問われ、刷新されています。

もはや、デザイナーはFormを議論するだけではないのです。

戦略的な視点に立って、製品サービス・システム(PSS)をデザインする、この考え方が、イタリアのミラノ工科大学には根付いています。

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DDIとは、一つには、批判(Critique)によるイノベーションのアプローチである。

しばしば、”デザイン思考”は”発想”をそのアプローチの重要な要素として捉えられています。しかし、デザイン・ドリブン・イノベーションでは、”発想”ではなく、”批判(Critique)”をそのアプローチの根源に据えています。従来、”批判”は、創造力を抑圧する悪者のように捉えられてきましたが、DDIはその考えを根底から覆します。これも一つの「意味のイノベーション」と言えるかもしれません。以下に、イタリアの哲学者Umberto Galimbertiの”批判”を巡る考え方を引用します。

“To understand a world that changes we must revisit our

myths, we must subject them to criticism, to cure the ideas that

we use to interpret life…”.

Criticism is a word that refers to the Greek Krino, which means

“I judge”, “I value”, “I interpret”.

当たり前になってしまっている神話に、再度、訪問することから、スタートするのです。私はどう価値付け、どう判断し、どう解釈するのか、それを問いなおす旅が、デザイン・ドリブン・イノベーションの道程です。

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デザイナーは、「美しさの番人」としての役割を担ってきた。「美」についてどう考えるか。

沢山の方々から、ご意見・ご質問・ご批判・コメントを頂きました。こちらでは全てをご紹介するのが難しいですが、デザインに携わる者にとって、本源的に重要な問いを頂きました。

デザイナーは「美しさの番人」としての役割を担ってきた。「美」についてどう考えるか。昨今、”デザイン思考”やら”DDI”やらと様々な形でデザインの概念が拡張し、中には、”Styling”としてのデザインはもう古い、という論調もあります。

このような中で、ある意味、「プロセスとしての」デザインばかりに目が行き過ぎ、デザインが本来持つ「美しさの番人」としての側面が軽んじられてはいないだろうか。デザインは、どこに向かうのだろうか。そのような、深い根源的な問いを頂きました。

正直申し上げて、今の私には返答できない問いでした。ミラノの建築設計事務所でお世話になった、師匠の声が思い出されました。「君はまだまだデザインのことなんて全然分かってないんだから。せいぜい、一生懸命頑張って、勉強しなさい。」

そうです。僕は、「デザインの本質とは何か」ということも含めて、触れて、体験したい、そういう思いで、イタリア・ミラノに行きました。そこには、デザインの「文化」があると信じたからです。

デザインをツールとして学ぶなら、本を読めばいい。しかし、留学するなら、その場所でしか得られない、一生の財産になる「経験」をすることが大事だ。
デザインの歴史と文化の長い、ヨーロッパ、イタリアのミラノにこそ、今この時期に行くべきだ。そう考えて、ミラノに行きました。

そこで思い知ったのは、デザインの、奥深さと、幅の広さ、です。それは、文化そのものといっても過言ではありません。本で読んで分かるようなものではないし、ましてや「デザイン思考」だとか「デザイン・ドリブン・イノベーション」という方法論やアプローチと同一のものと勘違いしてもいけない。それを知ったから、もうデザインをマスターした、なんて考えることは、愚かだと感じました。

海のように広大で、空のように遠く無限に広がっている。そのデザインの世界の深淵さに出会えたことが、私の留学の一番の大きな気付きだったかもしれません。

このセミナーで、改めて、そのことに自覚できたこと、そのような機会を頂けたことに、心から感謝致します。

今後もこの大きな世界を長い時間をかけて、航海して行きたいと思います。

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Grazie Mille!!


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