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[デザインスクールWS]インタラクション・デザイン 「靴の新しい意味を考えてプロトタイプを作る」

こんにちは。羽山です。
 
ミラノ工科大学デザインスクールでの現場の学びをご紹介します。
今回は、インタラクション・デザインの授業とワークショップです。
実際にプロトタイプを作ってみる、Doingに力点の置かれた実践的な内容で、
デザインの醍醐味を体で体感できるものです。
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目次

インタラクション・デザインって?

 

正直あまり聞き慣れないこの言葉、もともとは1980年代にビル・モグリッジ氏によって提唱された概念。今では当たり前の用にデザインの世界で唱えられるようになった「経験のデザイン」についてもいち早く語っていた方です。
モグリッジ氏の考え方を以下に引用します。

 

「Design the whole experienceという言葉がありますが、ユーザーの経験のすべてをデザインしなければいけないという考え方です」


経験をデザインする、という考え方にあるように、単にプロダクトやサービスをデザインするというよりは、むしろ全体の価値体験そのものをどう設計するか、ということが重要な論点になります。
 
 
 

ワークショップ:靴の新しい意味を考えてプロトタイプを作る


2015年は、IoT元年と日本では言われていました。
イタリアのミラノ工科大学の講義でも、IoTの流れを組んだインタラクション・デザインの実践的なワークショップが実践されました。
クライアントをイタリアの伝統的な靴メーカーに迎え、IoT×靴というテーマで自由に発想し、プロトタイプを作る、という内容です。3人一組のチームに分かれてのグループワーク形式で行われました。
 
僕たちのチームは「モノに感情がある」というストーリー/コンセプト創りから出発し、プロトタイプでは靴にLEDを付け、アプリを通して人の呼びかけに反応を示すように施しました。Titleは「ShoEmotion」です。
 
プロトタイプなので見た目は雑だし機能は極めて限定的です。でも、クライアントとのやりとりを通じ、資料ベースのやりとりでは引き出せない反応や意見を頂き、初めてプロトタイプの力を実感しました。しかもここまでにかかった時間は2週間程度。フルタイムワークではなかったので、実労働は3-4日程度。デザインプロセスの早さも同時に実感しました。
LEDを靴に取付てみた
ビジュアルプログラミングツールを使う
イタリア生まれのプロトタイプツール、「Arduino」を使って。

クライアントとの対話:こんなコトもできたら面白いわね!?

 
意外な学び・発見もありました。
デザインワークでは、未来的な最大限の可能性をいっきに語りきらない方が得策であるということ。クライアントや聞き手は、あまりにもフューチャリスティックなことを言われてもただの妄想としか捉えてくれませんし、R&Dや生産の人は実現可能性が気になるし、かえって逆効果になる可能性があることです。せっかくのいいアイディアでもこういうところで躓く可能性がある。なので、最初のコンセプト・プロトタイプ提示の場面では、ほんのすこしだけ未来の話をするに留める。
 
そして大事なのは、そのほんのすこし先の未来なんだけれど、本当に具体的なストーリーで語ること。ここはストーリーテリングやペルソナ、メタファーたちの出番です。頑張って考えたことだし、職業病もあり「So What?」と思考が前のめりになりがちですが、アイディアはいったんはポケットにしまっておき、プロジェクトが進むに連れて少しずつ出していくほうがいいと思いました。
 
また、嬉しかったのは、コンセプトを非常に気に入っていただき、プレゼン中も笑いありで、最終的にはR&D部門に追加調査検討にまわして頂けたことです。
 

「こんなコトもできたら面白いわね!?」

Ciao ciao!!

 
プロトタイプをきっかけに、議論が前に前に進んでいく。これがプロトタイピングの醍醐味です。
もしかしてひょっとするとこのプロトタイプをきっかけに、クライアントの新商品になるかも(笑)そう簡単ではないと思いますが。
 

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